体調が悪くても炒飯は作れる【チャーハンのコツはたったのふたつ】
いつもよりも目が覚めたのが遅い。
思いっきりあくびをすると何故か左の顎が痛かった。
心なしか胃の下がちくちくする。
そうだった、排卵日らしい。
頭が痛い。
体が重だるい。
浮腫んでる気がする。
昨日から焦る気持ちだったり、
落ち込んだり、感情の起伏がある。
結婚して4年が経つ。
そろそろ子供作らないの?と言ってくる人もこの世の中だからなのか減った。
だからわたしの両親含め周りの人たちは誰ひとりとして「それ」は言わない。
だからわたしにとって排卵日は「特別なイベント」ではない。
ずっと仕事が好きで、仕事に夢中で生きてきた。決して大きくない身体で、現場の中男と同じ仕事量をこなしてきた。
現場主義、現場に入れば男も女も関係ないと思って生きてきた。だから自分の身体のことなど気にしてこなかった。気にしている場合ではなかった。
仕事から離れ、毎日眠たければ寝て、目が覚めて再び目を閉じなければ起き上がる。
空腹を感じたら自分で自分のために料理して食べる。適度な運動をする。歩く、走る。
そして夜は今日もストレスが無かったな、と晩酌をする。
ノンストレス生活を送り始めて3ヶ月目。
身体の声に耳を傾けられるようになった。
今自分の身体はこうだ、という感覚が分かるようになった。
今まではきっとその感覚を分かっているふりをしていただけ。
自分の身体を大切にケア出来ていなかった。
だから女性特有である「生理」の事情はわたしはほとんど気にしてこなかった。
ましてや、低用量ピルを飲んで生理不順による不安をかき消し、毎月同じタイミングで生理が来ることへの安心感を得ていた。
生理が遅れてるくらいのことで一喜一憂したくなった。
若い頃からそのような生活だった。
もちろんピルに助けてもらった部分は多い。生理痛の緩和や肌荒れも減った気がしていた。
でも自分の時間が自分の為にあり、毎分毎秒自由に使えるのであればもうピルに頼るのは辞めようと決意した。そして今月からピルを無くした。
副作用なのか、やっぱり身体は重怠い。
頭痛も増えている。
でも、辞めたことによってそれに気付けたのも確か。
気持ちがそわそわするな、心ここに在らずだな、イライラするな。
毎日を平凡に何も気にせず過ごしていたら見落としてしまいそうな感情の変化さえも、救いあげる。
身体が重だるい時「無理して時間給のために働くこと」より、「ゆっくり身体を休めて目を閉じてただ時を過ごすだけ」の「今」の方がよっぽと自分にとってはいい時間の使い方なのだろう。
そんな事をぼーっと考えていたら、そろそろお腹が空いてきた。
気分は米。炒飯が食べたい。
冷凍庫に鮭が眠っていたな。おつとめ品で買ったセロリももう食べてあげてしまわないと。
鮭とセロリのチャーハンに決めた。
その他具材は椎茸玉ねぎ、微塵に。卵早く溶いておく。調味料は全て用意しておく。あとはおたまをもって始めよう。
煙が出るくらい熱した中華鍋に、多めの油、すかさず溶いた卵を入れる。
油を吸い込んだ卵はふわっとする。そこへ素早くご飯を投入して煽る。
卵の下にご飯、おたまの裏でトントン、油をまとった卵をご飯と合体させるイメージ。自然と油がふたつを混ぜ合わせてくれて、しっとりパラパラになる。
鶏ガラの素、塩胡椒で味付け。
鍋肌に醤油を周り入れ焦がす。煽って完成。
チャーハンを作る時のコツはふたつ。
スピード感と材料を全て揃えてからのスタートのみ。
こんな日は中華鍋もうまく振れない。うまく煽れないと卵と米と油に空気が含まらず、べっちゃりしてしまう。
味の感覚も鈍る。わたし今塩味が欲しいのか?でも塩を入れることでしょっぱくなることに抵抗があった。結果チャーハンは薄かったし、焦げた。
でも落胆することはない。料理は作業だけど、仕事ではない。
そう、わたしはわたしの為だけに時間を使えるのだ。失敗しようが構わない。
再びチャーハンが食べたくなったら今度は飛び切り美味しいチャーハン作ってやる。
少し焦げたチャーハンはところどころ硬い。 寝ている間強く噛み締めをしている左の奥歯が少し痛い。だから顎も痛かったんだ。