ニートを楽しむただの女

何もない持ってないし要らない人間のやること。心の解放と言葉の居場所を。

ただのニートは桜島へ走りに行った。

 

わたしは鹿児島が好きだ。

 

理由は単純に旅行で訪れた時、ご飯とお酒が美味しかったから。

そして鹿児島空港から鹿児島市内中心部までのアクセスが良い。栄えている鹿児島中央駅からバスや電車(路面電車)を駆使すれば移動時間をほとんど使わずに楽しむことが出来る。かなり魅力的だ。

 

何より鹿児島市天文館より、桜島までのアクセスの簡単さには驚いた。

簡単だし、近い。(観光地はどうしてもバスや電車を乗り継いでの移動の末、ようやく辿り着くイメージだから)

天文館より徒歩20分ほどで桜島フェリーターミナルへ着き、フェリーで15分程揺られればあっという間に島に着く。

(フェリーの中に人気のうどん屋さんがあることは有名だ。もちろんわたしも頂いた)

f:id:tomom-t:20220214224104j:image

 

わたしは桜島も好きだ。

鹿児島を好きな理由はもうひとつある。それは桜島が大好きになったから。

それを語言化(わたしの頭の中の整理)の為、桜島とわたしの思い出を振り返りたいと思う。

 

 

 

 

2022年1月中旬。わたしが桜島を訪れた当時、少々噴煙が上がっていた気がする。

噴煙など実際に見たことがないから、少々の噴煙にも興奮してしまい、ちょっぴり怖い。

桜島はいつも怒っているのかな)

そう思った。

自然を怒らせてしまうのはいつだって人間だと、わたしは思っている。  

 

今回わたしが桜島を訪れた理由、それは

桜島一周35kmランニング」をする為だ。

 

時は戻り初訪問鹿児島、2021年10月中旬。

桜島へ到着し、目指す湯乃平展望所まで歩いて行った。

(湯乃平展望所へ向かうバスはあるが、走ることが大好きなわたしは自分の足を使って展望所まで行くことを選ぶ。なぜ走らなかったのか。パートナーが足を少し負傷していたのだ)

 

当時桜島はまだ残暑が残る。強い太陽の日差し、蒸し暑くて無風。関東都心と比べるとまだまだ半袖だし、額から流れる汗のかき方も夏だ。

歩きながら、まず目に入ってきたのが小さな柑橘の実がなる木。

それは桜島名産「小みかん」だ。世界一小さなみかんとも呼ばれる果実が、桜島の噴煙にも負けずに力強く育ち始めていた。その育ち始めの青々とした小さな実が、これから訪れる桜島の冬を誘っているのだろう。

その時わたしは、12月より出荷し始めるこの小さなみかんをまた食べたい、と思った。

そのためにまた桜島を訪れようと強く思った。

そして次は、この島の風景を走りながら見てみたいと漠然と思っていた。

f:id:tomom-t:20220214224152j:image

 

その3ヶ月後のきたる年初め。

桜島一周35kmランニング」と「小みかんを食べる」というあの日感じた事、頭の片隅に消えずにいた欲を満たす為に再び桜島へやってきた。

(足を負傷していたパートナーは回復し、今日はわたしたちが2人で走る記念すべき初めての日となった)

f:id:tomom-t:20220214224212j:image

 

まず初めに言っておこう。

 

桜島一周35kmを走った感想は…

ずっとアップダウンキツイじゃん。

 

事前に調べた内容としては、「桜島を観光するコースとして左回りコースがおすすめなので、左回りにスタートしたら、11kmあたりからアップダウンが4kmほど続いた」とのこと。

(わたしのように桜島を走って一周したいという方がいたこと、そしてその方がその記録をブログに綴ってくれていたことに感謝)

 

わたしの感覚としては、フェリーターミナルからスタートして、ずっと海沿いの道を走るのだと思っていた。9km過ぎから民家が少なくなり、だんだん内陸地に入ってきて周りが木々に囲まれた。そしていきなりアップが始まり、ダウンした。

何だかんだで4kmが過ぎたあたり、平坦な道に戻り、林の隙間から海が見えた。海がまた姿を現してくれたと思ったら、またアップしてダウンした。

結局ずっとこの繰り返しだった。

 

でもフェリーターミナルをスタートして17kmほど走ったら「黒神埋没鳥居」も見れたし、21km過ぎだあたりでは国道224号と大きな道路表示(桜島口付近)があり、ここで道を外すと垂水市へ行ってしまうので注意。ということで改めて気も引き締まった。

おっ、ここでようやく海が姿を現してくれた。

(あぁ…海。やっぱり綺麗だ)疲れ切っている身体でも、海を見ると自然とエネルギーがもらえた気がした。

f:id:tomom-t:20220214223930j:image

f:id:tomom-t:20220214224253j:image

 

でも最後の海沿い15km、より壮絶なアップダウンがわたし達に鞭を与えてくるのだった。

さすがに足はもう悲鳴をあげていてほとんど歩くペースのようなもの。そして寒さで冷えた身体と足はもう言うことを聞いてくれない。

 

その時は

ただ前を向いていた。

ただただ足を前に踏み出していた。

 

ただ桜島を一周したいという思いだけだった。

 

初めは、島一周35kmという距離に魅力を感じただけだった。一周ぐるっと周れる島は何処にでもあるだろうし、比較的行きやすいメジャーな島は大体周囲100kmは優に越えてくる。35kmという距離はわたしにとってはとても気軽に挑戦できるし、超える事の出来るハードルの高さだった。

 

でも桜島のアップダウンを、超えては超え超えられないくらい足が棒になった今思うのは…

 

ただ走り切りたい。

 

再びフェリーターミナルが見えた暁には、温泉と冷たいビールがわたしを待っている。

(身体は冷え切っているがビールは別腹ならぬ、別身体。どんな状況でもランニング後は飲みたい)

 

ただただそれだけだ。

 

ようやくフェリーターミナルが見えてゴール。

もはや達成感以外の感情はない。これほどまでにやりきったという感情を死ぬまでにあと何回感じることが出来るだろうか。

 

わたしよりまだランニング経験の浅いパートナーも足を引きずりながらも完走した。(彼はランニング歴まだ半年)

初めて30km以上の距離を走り切った彼の頑張りをわたしは讃えたい。

 

この達成感を共有できるパートナーがいる事、それはとても幸せな事だ。


f:id:tomom-t:20220214224716j:image

f:id:tomom-t:20220214224719j:image



 

 

走ることはシンプルだ。ただそれだけだもの。

 

走って何処へ行く訳でもなく、何処へ行ける訳でもない。人間の身体、己の身体なのだから限界はあるだろう。でもただ走りたいと思うから走り切れる。

間違いなく、この桜島一周35kmの経験はわたしにとって走ることの経験値をアップさせてくれた。また走り出したいと思わずにはいられない、ワクワク感をくれた。

 

そして自然の雄大さと厳しさを身体で感じた。

大地と島の住民をずっと優しく見守り続けてくれていた桜島。そして噴火。

噴火により島の人々の生活も変わっただろう。昔登ることの出来た桜島はそれを許さなくなった今、見上げては黒く暗い噴煙。それでもあなたはわたしたちをまだ見守ってくれているの?

 

必ずまた会いに来ます。

わたし達はこの島があなたがとても好きになりました。

 

 

わたしは鹿児島県が好きだ。

 

鹿児島県へ行けば、またあなたに会えるのだから。